下北沢から16分の税理士・会計事務所、
吉田一仁税理士事務所です。
本日は、賭博所得への課税についてお話したいと思います。
競馬の当たり馬券による所得を確定申告しなかったとして、所得税法違反に問われた
元会社員の男性(刑事訴追されたことにより、勤め先を解雇された)に対する
大阪地裁の裁判が競馬ファンらの関心を集めました。
そして、日本中央競馬会(JRA)などには、課税の仕組みについて
問い合わせが相次いでいると報道されていました。
賭博による所得は、宝くじ・サッカーくじ(TOTO)が非課税とされている以外は、
すべて課税の対象です。
しかし、賭博所得に係る課税事件は、かつては存在しませんでした。
実態として、賭博所得は法令規定に拘わらず、実質的に申告不要非課税でした。
しかし最近は、馬券購入も窓口での現金支払いだけでなく、銀行口座振替による
プッシュホン電話・携帯電話・インターネット経由での申し込みが一般化しています。
なので、当たり馬券の保持者が特定できるようになっているため、
今後は課税申告が必要かどうかの判定が必須となっています。
刑事事件の判決は、平成25年5月23日に言い渡される予定です。
また、外れ馬券を経費と認めずに課税処分したのは違法だとして、
国に対して課税処分の取り消しを求めた税金訴訟の第1回口頭弁論が平成25年3月12日、
大阪地裁(田中健治裁判長)で開かれ、こちらの行政訴訟も同時進行中です。
訴状によると、大阪国税局は、的中した馬券の購入費のみを経費として控除し、
平成17~21年の5年間に競馬で得た所得計約34億円を申告しなかったとして、
元会社員に課税処分しています。
これに対し、元会社員側は「外れ馬券の購入費も総収入を得るための経費であり、
所得計算上控除すべきもの」として、所得は計約1.5億円にとどまると主張し、
課税処分の取り消しを求めています。
課税当局が賭博所得を一時所得とするのは、所得税基本通達に「競馬の馬券の払戻金
・競輪の車券の払戻金等」を一時所得として例示しているからです。
しかし、儲けの7倍近い追徴になる課税処分は、
担税力を課税の根拠とする所得税の趣旨から考えて異常です。
雑所得とする余地があってもよさそうに思われます。