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個人株主が破産した場合の自己株式の取得

下北沢から16分の税理士・会計事務所、
吉田一仁税理士事務所です。

本日は、個人株主が破産した場合の自己株式の取得についてお話したいと思います。

平成26年3月14日付の東京国税局の文書回答事例に面白いものがありました。

「個人株主が破産した場合に、会社がその自社株式を破産財団から買取った場合には、
 源泉徴収はしなくても構わないか?」という照会です。

この事前照会によると、照会者である会社(A社)の取締役が、
裁判所から破産手続開始の決定を受けてしまい、A社の株式が
その破産財団に組み込まれてしまったようです。

A社は非上場会社であるため、破産財団側としても市場で売却するなどの処分もできず、
A社が時価による自己株式の買取りに応じたということでした。

通常、非上場会社が自己株式を取得した場合には、その自己株式の取得により交付を受ける
金銭等の額が当社の資本金等の額(基因となった株式に対応する部分)を超える時には、
その超える部分が「みなし配当」とされます。

そして、所得税法では配当所得、みなし配当以外の部分が株式等に係る譲渡所得となります。

A社の立場から言えば、このみなし配当について源泉徴収義務が生じるということになります。

所得税法には、以下のような規定があります。

「資力を喪失して、債務を弁済する能力が著しく困難な場合における
 強制換価手続きによる資産の譲渡による所得は、非課税とする」

そこで、照会者は「A社の事案がこれに該当しますよね?」と事前照会をしたわけです。

一見この自己株式の取引は、取締役が財産の管理処分権を失ったことにより株式を組み入れた
破産財団とA社の取引なので、資力を喪失した取締役(個人)の取引には見えません。

したがって、取締役の資力喪失を要件とした非課税の適用は難しいように見えます。

しかし、法律上はこの時点で取締役は財産の管理処分権を喪失していても、所有権までは
喪失していない状態、つまり取締役個人がまだ取引の当事者という位置付けなのです。

また、この非課税規定の「資産の譲渡による所得」を聞くと「譲渡所得」が連想されますが、
強制換価による譲渡を原因とする所得を意味するため、「配当所得」でも非課税である
と判断されました。

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