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起業後のお金の問題を解決する資金調達5つの方法

【この記事は加筆・修正を加え、2023年3月31日に最新版に更新されました】

起業はしたが、お金がない問題をどうするか

インターネットサービス大手・DeNA創業者の南場智子さんのような女性起業家や、オンラインプログラミングスクール・Progateを創業した加藤將倫さんのような学生起業家は、いまや珍しい存在ではありません。

また、会社を定年退職後に第二の人生を歩むべく、それまで培ってきたノウハウを生かして起業に踏み切る人も多いでしょう。

「人生100年」と言われる時代だからこそ、元気でいられるうちは自分が納得のいく働き方を続けるという意味でも、起業は1つの選択肢になり得るはずです。

しかし、起業につきものなのがお金の問題です。

一般的に、都市銀行・地方銀行などの民間金融機関から融資を受ける場合、必要書類の一部に過去2期分の決算書を求められることがほとんどです。(創業融資などを除く)

つまり、少なくとも2年以上はビジネスをして、しかも黒字でないとなかなか民間金融機関からの融資を受けるのは難しいと言えます。

起業してから1年以内なら「創業融資」による資金調達

実際のところ、起業で最もまとまったお金が必要になるタイミングは、ビジネスの立ち上げから1年の間に訪れます。

事務所を借りたり・備品を買い揃えたりなど初期投資にお金がかかり過ぎては、その後の運転資金も尽きてしまう原因になりかねません。

そこでまず活用したいのが、いわゆる「創業融資」による資金調達です。
創業融資については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。

関連記事:創業融資とは?創業融資の種類と資金調達までの流れを徹底解説
関連記事:創業融資は書類が9割!創業融資に必要な書類まとめ
関連記事:日本政策金融公庫の創業融資の審査基準は5つ!審査成功のコツとは

起業してから7年以内なら「女性、若者/シニア起業家支援資金」による資金調達

起業してから1年超の場合に検討したいのが、日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」です。

女性または35歳未満か55歳以上の人で、新たに事業を始めるまたは事業開始後おおむね7年以内であれば利用できます。

融資された資金は事業開始・開始後の資金として使え、7,200万円(うち運転資金4,800万円)まで融資が受けられる仕組みです。

さらに、立ち上げようとしているビジネスが「技術・ノウハウ等に新規性がみられる」と判断された場合は、より有利な条件で融資が受けられます。

参考:女性、若者/シニア起業家支援資金|日本政策金融公庫

融資に頼らない「クラウドファンディング」による資金調達

金融機関から融資を受けられるとは限らないからこそ

何かビジネスを始めようと思っても、事業が軌道に乗るまでは融資を受けるのも大変です。
特に、都市銀行・地方銀行の場合、融資の申し込みの際に過去2期分の決算書の提出を求められるのがほとんどです。

つまり、ビジネスをスタートしてから少なくとも3年はたたないと申し込みすらできないことになります。(創業融資などを除く)

そのようななかなか融資を受けられない時期に検討してほしいのが、クラウドファンディングです。
Web上で不特定多数の出資者から資金を募ることを言います。

海外では古くから使われてきましたが、日本では2011年に発生した東日本大震災の後にクラウドファンディングサービスの「Readyfor」が創業されたことを考えると、比較的新しい手法と言えるでしょう。

スタートアップ企業など多額の資金調達が必要なのにもかかわらず、まだ融資を受けるのが難しい組織が資金調達を行うための手段として、今では広く用いられています。

クラウドファンディングを行う際の注意点は?

クラウドファンディングは、出資者に対する見返り(リターン)により以下の4つに分類することができます。

融資型:出資額に金利を付けて償還する
株式型:出資者に対し株式を交付する
購入型:出資者に対し商品・サービスを提供する
寄付型:出資者に対し金品によるリターンを交付しない

また、クラウドファンディングを行う際は、期限までに目標額を達成できれば資金調達できる(All or Nothing方式)か、期限までに集まった金額がすべて手に入る(All in方式)のいずれかを選ぶことになります。

どんな方式が適しているのかは、クラウドファンディング会社のコーディネーターと相談しながら決めましょう。

大事なのは、クラウドファンディングであっても資金調達をした以上は責任を持ってプロジェクトを成功に導くことです。

「資金を出してくれた人の思いを無駄にしない」気持ちは持ち続けましょう!

やはり王道となる「銀行融資」による資金調達

都市銀行からの融資・資金調達、どれだけ難しい?

以前、都市銀行に勤務する銀行員が主人公のドラマが流行していました。
あのドラマはやや大袈裟ですが、銀行の仕事の中で企業への融資がいかに大きな比重を占めているかはわかるはずです。

ところで、都市銀行から融資を受けるのがどれだけ難しいか考えてみましょう。

結論からいうと、会社設立・起業したばかりならほとんど相手にしてくれません。
融資を受ける難しさをランキング形式にすると、以下のようになります。

  1. 都市銀行プロパー融資
  2. 地方銀行プロパー融資
  3. 信用金庫・信用組合プロパー融資
  4. 信用保証協会保証付融資
  5. 日本政策金融公庫の融資

あまり聞きなれない言葉もあるので簡単に説明します。

まず、日本政策金融公庫は半官半民の金融機関で、国民の利益を優先した運営を行っています。
そのため、創業したての会社であっても比較的融資を受けやすいのが特徴です。

裏を返せば、日本政策金融公庫から融資を受けられなければ、事業を営むのはかなり厳しくなるかもしれません。

都市銀行からのプロパー融資がゴール

日本政策金融公庫の融資を受け、大体2期以上過ぎたら、信用保証協会による保証付融資にチャレンジしてみましょう。
保証付融資は返済できない場合は信用保証協会が代わりに支払ってくれる商品のため、金融機関が自前で行う融資(プロパー融資)よりは審査に通りやすいのが特徴です。

その後は会社の成長の伴い、金融機関の規模に応じた難易度の高い融資にチャレンジしていきましょう。

信用金庫・信用組合は、いわば地域密着型の金融機関です。
地域の産業の発展に寄与するのも役割の一つであるため、信用保証協会による保証付融資に通った実績があれば、プロパー融資も申し込みやすいです。

さらに会社の規模拡大などに応じて、着実に地方銀行から都市銀行へとステップアップしていくケースが多いです。
都市銀行からプロパー融資を受けられるようになれば、その頃はかなり事業も安定しているはずです。

まずは一つ一つのステップを意識しながら、融資を含めた事業資金の調達を考えてください。

どうしても運転資金が足りない場合の「ファクタリング」による資金調達

運転資金が足りない時の選択肢

コスト削減・売上アップの努力をしていたとしても、一時的に運転資金が足りなくなることはどんな会社にでも起こりえます。
特に、会社設立・起業したての会社の場合、実際に売上が入ってくるようになるまでは資金繰り・キャッシュフローに苦慮することも多々あるでしょう。

そんな時、足りない運転資金を調達する手段の1つとして活用できるのが、ファクタリングです。

ファクタリングとは、企業から売掛債権を買い取り、売掛債権の管理や回収を行うサービスを指します。
ファクタリング会社と呼ばれる専門業者を利用するのが、一般的な流れです。

ファクタリングのメリットとしては、以下の4点が挙げられます。

  1. 短期間で資金調達ができる
  2. 保証人や担保が不要
  3. 自社で回収をしなくていい
  4. 信用情報に影響しない

加えて、審査は行われますが、あくまで「取引先から資金を回収できるか」に着目して行われるので、融資の審査に通らない場合でもファクタリングなら利用できることも多々あります。

取引先に伝えるかどうかもポイント

一方、ファクタリングのデメリットとしては、以下の2点が挙げられます。
①手数料がかかる
②債権譲渡登記が必要になる

①については、ファクタリング会社は売掛債権を買い取る際に所定の手数料を徴収しています。
手取りが減ってしまうので、「実際はいくらになるのか」を熟慮する必要があります。

②については、ファクタリング会社は売掛債権を買い取ると債権譲渡登記を行います。
この手続きは、法的に「ファクタリング会社に返済額を受け取る権利がある」ことを証明するためのものです。
しかし、債権譲渡登記は誰でも見ることができます。

ファクタリングは、自社とファクタリング会社のみとでやり取りする「2社間ファクタリング」と、取引先も交える「3社間ファクタリング」があります。

「取引先に知られたくない」という理由で前者を選んだ場合でも、取引先にファクタリングを利用したことを知られてしまう可能性は0にできないので、十分注意しましょう。

 

以上、起業にはお金の問題がつきものですので、早め早めに税理士などの専門家とも随時相談しながら、使えそうな制度はフルに活用し、上手にお金の問題を解決しましょう。

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