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株式会社設立の費用は最低いくら?設立コストを賢く抑えよう!

株式会社を設立すると、以下のような節税効果を見込めます。

  • 個人事業主でいるより、経費(損金)にできる範囲が広がる
  • 個人事業主でいるより、所得にかかる税率が低くなる場合がある
  • 法人成り後2年間は、課税売上高1,000万円を超えても消費税が免除される

しかし、株式会社を設立するとなると、多額の費用や面倒な手間がかかってしまうのではと心配している経営者も多いでしょう。

実際、株式会社を設立するには、定款の作成や認証・登記の手続きなどで一定の費用と手間が発生します。

そこで本記事では、株式会社設立にかかる費用は最低いくらに抑えられるのか。
また、会社設立コストや面倒な手間を賢く抑える方法などについて紹介します。

株式会社設立の費用を抑えるために、ぜひ参考にしてください。

株式会社設立に最低限必要な実費(法定費用)

株式会社を設立するために最低限必要な実費は、下表のとおり24.2万円です。

法定費用 金額
定款認証手数料 ¥50,000
定款謄本手数料 ¥2,000
定款の印紙代 ¥40,000
登録免許税※ ¥150,000
合計 ¥242,000

※登録免許税は、資本金の額がおよそ2,140万円を超えると上表より高くなります。

ただし、実際に負担する法定費用としては24.2万円から4万円節約して、20.2万円に抑える方法もあります。
この方法について、詳しくは後述します。

手数料や印紙代・登録免許税など、あまり聞き慣れない人に向けに、以降では法定費用について簡単に解説していきます。

定款認証手数料はなぜ5万円なのか

定款とは会社の根本規則であり、いわば会社の憲法のようなものです。
作成した定款は、法律の専門家である公証人に認証してもらわないと効力を持ちません。

株式会社を設立するには、必ず定款を作成して認証を受けなければならないことが、会社法で定められているのです。

株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
引用元:会社法(第26条) | e-Gov法令検索

 

第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
引用元:会社法(第30条) | e-Gov法令検索

定款の認証は公証人が無料でやってくれるわけでなく、法令で5万円と決められています。

参照:公証人手数料令(第35条) | e-Gov法令検索

定款謄本手数料はなぜ2,000円なのか

定款謄本手数料とは、株式会社の設立登記を申請する際に、認証を受けた定款の謄本を取得するための費用です。
その他、株式会社設立後の各種届出・銀行口座開設にも必要になってきます。
設立後については後述するので、そちらを参考にしてください。

定款の謄本手数料は1枚250円と決められていますが、通常は8枚程度なので一般的に2,000円とされています。
参照:公証人手数料令(第40条) | e-Gov法令検索

株式会社を設立するには、定款の作成と認証が必要な点は紹介してきた通りです。
しかし、定款には印紙税という税金が課税されてしまいます。

印紙税は課税文書に課税される国税のことで、原則として作成者が収入印紙を貼り付けることにより納付します。

定款は印紙税の課税文書とされており、その額は4万円と決められています。
参照:国税庁「契約書や領収書と印紙税」

定款の印紙代を0円にする電子定款認証とは

定款には4万円の印紙税が課税されると紹介しましたが、実は課税されない方法があります。
印紙税が課税されない方法とは、定款を電子定款とすることです。

電子定款であれば課税文書の作成・交付とはみなされず、課税文書とはならないとされています。
したがって、電子定款であれば印紙税の4万円が不要になるのです。

ただし、電子定款を作成するのは簡単ではありません。
電子定款では、書面での押印に代わるものとして電子署名が必要だからです。

さらに、株式会社設立の登記を申請する際、どのような電子署名でも良いわけではありません。
アドビシステム社の電子署名形式に準拠していなければならないのです。

また、電子署名をする際に必要な電子証明書も定められています。

マイナンバーカードを取得すれば、公的個人認証サービスの電子証明書を無料で取得できますが、それ以外の方法では費用が発生するものが多いのです。

種類 料金
商業登記電子証明書 3ヶ月2,500円~
公的個人認証サービス電子証明書 無料
セコムパスポート 2年14,000円~

簡単にまとめると、電子定款を作成するためには、次のような手間と費用がかかることがあります。

  • 登記申請で認められている電子証明書を取得する
  • アドビシステム社の電子署名形式に準拠した電子署名環境を準備する

参照:
PDFファイルに電子署名を付与する際の留意事項について | 登記・供託オンライン申請システム
法務省:商業・法人登記のオンライン申請について

登録免許税はなぜ15万円なのか

株式会社設立にかかる法定費用として、最も大きな割合を占めるのが登録免許税の15万円です。

登録免許税とは不動産や会社などの登記・登録に課税される国税のことで、税額は株式会社で資本金の0.7%と決まっています。
ただし、税額が15万円に満たない時は15万円が登録免許税となります。

参照:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

例えば、資本金が100万円なら0.7%は7,000円となりますが、15万円に満たないので登録免許税は15万円となります。

逆算すると、2,142万円程度までは登録免許税が15万円で、2,142万円を超えると登録免許税が15万円以上になってきます。

<計算式>
15万円 ÷ 0.7% = 2,142万円8,571円

資本金は1円から可能ですが、資本金の額で税制上の取り扱いなどが異なってきます。
それだけでなく、銀行から融資を受ける際にも関係してきますので、個々の事情を踏まえて資本金を決定すべきでしょう。

軽減措置で登録免許税を半額にできる場合もある

期間(2022年3月31日までの設立登記)および自治体が限定されてしまいますが、登録免許税を軽減できる場合があります。

認定自治体で特定創業等支援事業を受け、証明書を発行してもらう方法です。

この場合、登録免許税の税率が0.7%から0.35%となり、最低額も15万円から7.5万円になります。

例えば、世田谷区は認定自治体に該当し、特定創業等支援事業には以下があります。(目黒区も認定自治体に該当)

  • ワンストップ相談窓口
  • 事業計画策定等個別支援
  • 創業融資相談
  • 創業セミナー(有料)

参照:世田谷区創業支援等事業計画のご案内

詳しくは各自治体の担当課へお問い合わせください。

株式会社設立のために法定費用以外で必要になる実費

ここまでは株式会社設立にかかる法定費用を解説してきました。

しかし、実際には以下のような実費も発生しますので、事前に把握しておきましょう。
それぞれ解説していきます。

  • 交通費
  • 登記簿謄本の発行手数料
  • 印鑑作成代
  • 印鑑登録・証明書発行手数料

交通費

株式会社を設立するためには、以下のような交通費がかかる場合があります。

  • 定款の認証を受けるために公証役場へ出向く交通費
  • 登記申請書を提出するために法務局へ出向く交通費

定款認証をテレビ会議形式で実施し、登記申請をオンライン申請で実施すれば不要です。

ただし、初めての会社設立手続きであれば不明点などが多く、余計に時間がかかってしまう場合もあるかもしれません。

参照:法務省:一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです!

登記簿謄本の発行手数料

登記簿謄本(登記事項証明書)は以下のようなケースで必要となるので、実質的に株式会社設立費用として発生すると言えるでしょう。

  • 各種契約
  • 税務署への届出
  • 社会保険の手続き
  • 銀行口座の開設
  • 銀行に融資を申し込むとき
  • 決算・申告

登記簿謄本(登記事項証明書)の発行手数料は、以下のとおりです。

書面請求 ¥600
オンライン請求・送付 ¥500
オンライン請求・窓口交付 ¥480

参照:法務省:登記手数料について

印鑑作成代

株式会社を設立する際および設立後は、下表のとおり印鑑が必要です。

個人の実印 定款の認証および会社実印の届出をする際に必要
代表者印(会社実印) 登記申請の際に、法務局へ届出るために必要

2021年2月15日からは、登記申請をオンラインかつ自分で実施する場合には、会社印の提出が任意となりました。
ただし、会社の印鑑証明書は法務局に届出をしなければ発行されず、各種契約等に必要ですので、「登記申請においてのみ会社印の提出が不要」という認識が正しいです。
会社実印が不要なわけではありません。

参照:法務省:一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです!

代表者印(会社実印)以外にも銀行印や角印・認印などを適宜作成しますが、それぞれ2万円前後を見込んでおいた方が良いでしょう。

印鑑登録・証明書発行手数料

株式会社を設立する際には、原則として個人および法人の印鑑登録(届出)と証明書の発行が必要です。

それぞれの手数料は、以下の通りとなっています。
会社代表者印の登録には手数料は発生しません。

会社印鑑 書面請求 ¥450
オンライン請求・送付 ¥450
オンライン請求・窓口交付 ¥430
個人印鑑 印鑑登録 ¥100
印鑑証明書 ¥300

参照:法務省:登記手数料について
※個人印鑑の登録・証明書発行手数料は、世田谷区・目黒区の場合

株式会社設立は専門家に依頼するべきか?

結論から述べると、初めの段階から専門家に依頼するべきです。

これは費用と時間・手間の両面から、専門家に依頼した方がメリットがあるからです。

項目 時間
設立手続き等の事前知識の習得 5~20時間程度
定款の作成 5~10時間程度
定款の認証 2時間程度
設立登記の書類作成・準備 5時間程度
設立登記の申請 2時間程度

あくまでも一般的な例を挙げていますが、自分で株式会社を設立する場合、上記のように無駄な時間がかかってしまいます。

初めの段階から専門家に依頼すれば、会社設立手続きの流れやポイントについて事前に説明してもらえる上に、電子定款で4万円を節約できます。
無駄な費用や時間・手間をかけずに済むのです。

また、専門家に依頼するべき理由はそれだけではありません。

それは、株式会社を設立した後にも多くの手続きをしなければならないからです。

  • 法人設立届出(税務署)
  • 青色申告の承認申請書(税務署)
  • 給与支払事務所等の開設届出書(税務署)
  • 消費税の新設法人に該当する旨の届出(税務署)
  • 棚卸資産の評価方法の届出(税務署)
  • 減価償却資産の償却方法の届出(税務署)
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請(税務署)
  • 電子申告・納税等開始届出(税務署)
  • 事前確定届出給与に関する届出(税務署)
  • 消費税課税事業者選択届出(税務署)
  • 消費税簡易課税制度選択届出(税務署)
  • 法人設立・設置届(都道府県および市区町村)
  • 健康保険・厚生年金保険の新規適用届(年金事務所)
  • 保険関係成立届(労働基準監督署)
  • 雇用保険の事業所設置届出(公共職業安定所)
  • 雇用保険被保険者資格取得届(公共職業安定所)

ご覧の通り、株式会社設立手続きを自分で行う場合、設立後の各種手続きは税務関連が大半を占めます。

このような背景もあり、株式会社の設立は専門家の中でも税理士に依頼するのがスムーズでおすすめです。

株式会社の設立を税理士に依頼すれば、その後の税務手続きの代行およびサポート、創業融資に関するアドバイスなども受けられるからです。

株式会社設立は専門家に依頼するのがおすすめですが、さらに今後の経営や税務会計を見据えて、起業を積極的にサポートしている税理士を選ぶと良いでしょう。
結局株式会社を設立した後は、税務会計のサポートを中心に税理士に依頼することになるはずだからです。

参考として、各専門家に株式会社設立を依頼した場合の概要を下表にまとめます。

専門家 内容
税理士
  • 設立手続きは税理士が提携している司法書士や行政書士に依頼
  • 会社設立手続きの流れや設立後の税務会計をサポートしてくれる
  • そのまま顧問契約を結ぶ場合などは、司法書士等への報酬(手数料)を税理士が負担してくれる場合もある
  • 電子定款で節約できる4万円以上のメリットあり
司法書士
  • 設立手続きを司法書士単独ですべて代行できる
  • 司法書士にとっては手続き代行が利益につながるため、報酬(手数料)は高め
  • 電子定款で節約できる4万円以上のメリットあり
行政書士
  • 定款作成と認証までは行政書士も対応可能
  • 司法書士と比べると報酬(手数料)は低めの設定が多い
  • 行政書士が提携している税理士との顧問契約が前提の場合が多い

ちなみに、当事務所でも多少の条件はありますが、手数料0円(実費のみ)で株式会社の設立に対応可能です。
ご興味のある方は、以下で詳細をご確認ください。

関連サービス:株式会社設立サポート

株式会社設立後にかかる費用など

株式会社設立後にかかる費用などについて、簡単に紹介します。

株式会社を設立すると、おもに社会保険と法人に関する税金の適用を受けることになります。

下表のとおり、支払った給料に対して約16%の社会保険料(労働保険料と子ども・子育て拠出金を含む)を支払わなければなりません。
なお、全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入して、東京都の場合を前提にしています。

税金に関しては、資本金の額や従業員数などの規模・都道府県や市区町村によって異なるなどの理由で、簡単にまとめるのが難しいため、あくまでも参考として下表をご覧ください。

法人の税金は複雑なので一概には言えませんが、個人所得税の税率が最大45%に対し、法人税率は800万円超えた部分が23.2%です。
所得が高いほど、法人であるほうが節税を見込めるといえます。

株式会社設立後にかかる費用など 費用
雇用保険 賃金総額×保険料率0.6%
労災保険 賃金総額×保険料率(小売業は0.3%)
健康保険 標準報酬×健康保険料率4.92%
介護保険 標準報酬×介護保険料率0.9%
厚生年金保険 標準報酬×厚生年金保険料率9.15%
子ども・子育て拠出金 標準報酬×拠出金率0.36%
法人税 800万円以下:所得 × 15%
800万円超え:所得 × 23.2%
地方法人税 法人税額×10.3%
法人事業税 400万円以下:所得×3.5%
400超え800万円以下:所得×5.3%
800万円超え:所得×7.0%
特別法人事業税 法人事業税×37%
法人住民税 法人税額×所得割7%+均等割7万円

参照:
労働保険料の申告・納付|厚生労働省
令和3年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
No.5759 法人税の税率|国税庁
地方法人税の税率の改正のお知らせ|国税庁
地方税の大要|国税庁

なお、ここでは個人事業主でも納付義務が発生する消費税・固定資産税・印紙税等は含めていません。

株式会社設立費用より合同会社設立費用の方が安い

株式会社設立を自分で行う場合は24.2万円程度、専門家に依頼する場合は20.2万円程度の法定費用が発生します。

実は同じ会社組織でも合同会社なら、もっと初期費用を抑えることができます。

法人の設立費用を抑えたいのであれば、株式会社と合同会社のメリット・デメリットを理解してから設立する会社を決めましょう。

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