【この記事は加筆・修正を加え、2023年2月8日に最新版に更新されました】
起業して会社設立すると、法人に関する税金の納付が必要です。
会社設立するということは、毎年法人として多数の税金を負担することにもつながります。
「法人の税金って法人税だけじゃないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、それ以外にも支払うべき税金は多岐に渡ります。
基本的には売上・利益に応じて税額が決まるため、起業直後など売上・利益が少ない場合は課されない税金もあります。
しかし中には、たとえ赤字であっても発生する税金もあります。
法人住民税の均等割と消費税などです。
そのため、納税時期に焦ることがないように、会社設立した段階で法人にかかる税金の種類についてしっかり把握しておきましょう。
消費税を抜いた利益に対して、課税される税金です。
税率は資本金によって異なります。
税率は適宜改正されますが、普通法人の令和4年4月1日以後に開始する事業年度の税率は、以下の通りです。
法人住民税は、地域によって税率や課税額に差はありますが、基本的に以下の2つが存在します。
法人住民税と合わせて申告・納税する税金です。
発生した利益に応じて課税され、その所得に応じて税率が変わります。
消費者から預かった消費税を収めます。
資本金が1,000万円未満である法人は、初年度と翌年度の2年間は非課税になる場合があります。
1月1日時点で、会社が保有している土地・建物・償却資産に関して発生する税金です。
課税文書(5万円以上の領収書など)を作成した時に発生します。
その都度、収入印紙を貼って割印することで納税します。
法務局で登記をする際にかかる税金です。会社設立時にも発生しました。
会社設立後も登記変更などをする際に必要となります。
印紙税と同じく収入印紙を利用して納税します。
事業活動以外にも法人が負担する税金はあります。
会社設立・起業の際には、さまざまな資金が必要です。
会社設立の登記費用や設備投資費用などは、会社設立後の経理業務で適切に仕訳して処理する必要があります。
会社設立前後の費用は、「創立費」と「開業費」に大別でき、仕訳方法も自由に選択することができます。
最初の決算のタイミングで焦ることのないよう、会社設立前後の費用の考え方を理解しておきましょう。
会社設立前後の費用の勘定科目は、「創立費」と「開業費」に分けられます。
支出の内容によってどちらの勘定科目を選ぶかが異なります。
簡単に言うと、会社設立前にかかった費用が「創立費」、会社設立後・事業開始までにかかった費用が「開業費」となります。
創立費とは、会社設立のために支出した費用が該当する科目です。
創立費の例は、以下の通りです。
開業費とは、会社設立後から事業を開始するまでの間に支出した費用です。
ポイントは、開業準備のために特別に支出した費用であることです。
営業を開始した後も引き続き発生する費用は、開業費とならないので注意しましょう。
開業費の例は、以下の通りです。
※開業までの間に発生した費用であっても、土地や建物の賃借料・給与・通信費・水道光熱費などは営業開始後も経常的に発生するものですから、開業費には含めません。
創立費も開業費も会社設立時の特別な費用ですから、通常の経理処理と違って独特の仕訳を行います。
これらの費用は、繰延資産に計上して5年で均等償却するか・任意償却するかを自由に選択できます。
会社設立の際に発生する「創立費」「開業費」を正しく把握して費用計上することで、節税効果を高めることができます。
5年間の均等償却では、創立費・開業費を5年で均等に分けた額を毎年償却していきます。
この方法を選ぶと、事業の利益にかかわらず毎年一定の額を償却していくことになります。
任意償却は、好きな額で・好きなタイミングで償却することができる方法です。
赤字の時に費用計上しても節税メリットはありませんが、黒字になったタイミングで未償却残高を全て償却することで、その年の税金負担を軽くすることができます。
事業の状況に合わせて開業資金を費用計上できるのは、任意償却のメリットです。
今までご説明してきた通り、法人にかかる税金の種類は様々です。
また、会社設立時から現状を把握した上でどの方法で仕訳をするのが良いのか、毎年の償却額はいくらに設定するのが得なのか、専門家視点でのアドバイスが必要になります。
起業直後の経営者は特に忙しく、あまり会計・経理業務に時間を割けないものです。
ですから、会社設立するなら早めに信頼できる税理士・会計事務所を見つけ、税務や会計のアドバイスを受けることをオススメします。
「自分に最適な税理士を探す方法」については以下の記事で解説していますので、こちらも合わせて参考にして下さい。
関連記事:税理士が教える自分に最適な税理士を探す方法。「最初に誰と出逢うか」で天と地の差がつきます!
会社経営を始めると、お金に関する不安や悩みから逃れることはできません。
「経理・会計業務くらい自分でできるだろう」
「法人税の申告の時までに税理士は探せばいいよね」
「税理士に頼んで何が変わるの?」
このように思われる方もいるかもしれませんが、会社設立・起業直後から信頼できる税理士を見つけ、各種業務をサポートしてもらうことを強くオススメします。
なぜなら、お金の専門家である税理士の力を借りることで、コンプライアンス面・節税面・経営の安定面で大きなメリットを得られるからです。
もちろん、税理士に支払う報酬は発生しますが、支払った費用はすべて経費計上できますし、何より税務会計処理に関する経営者自身の時間が大幅に削減できます。
目先のお金ではなく、会社全体で考えた時にどちらが本質的に得なのか是非考えてみて下さい。
理由1:コンプライアンス面で安心できる
個人の確定申告と違い、法人の税務会計処理は煩雑になります。
あいまいな知識のまま税務会計処理を行っていると、知らず知らずのうちに違法な脱税をしているかもしれません。
何がよくて・何がダメなのか、会社設立・起業直後の経営者がすぐに判断することは難しいです。
そんな時、税理士に確認しながら行動できれば間違いは起こりません。
本やネットなどで独学するより、知識の習得も早くなります。
また、会社設立すると逃れられない税務調査の時でも、コンプライアンス面がしっかりできているので不安になることはありません。
税理士がいれば税務署対応もサポートしてもらえますから、安心して税務調査に臨むことができるのです。
理由2:税理士の視点で節税アドバイスを貰える
税理士は、税のプロだからこそさまざまな節税の知識を持っています。
自分自身では気づかなかったことも、アドバイスを受けて知ることができます。
節税に関しては、知識・経験がすべてです。
もし使える節税制度があったとしても、知らなければどうしようもありません。
税務署の職員もわざわざ教えてはくれません。
だからこそ、税理士にアドバイスを受けることで、適切な節税対策を講じられるのです。
税理士のアドバイスは、役員報酬の額・車両購入の時期・保険などさまざまな角度から節税について考える良い機会となるでしょう。
会社設立・起業直後から税理士を頼ることで、節税の恩恵を得られるはずです。
理由3:経営相談で事業の成長・安定につながる
税理士と税務会計顧問契約を結ぶことで、定期的に会社の収支状況を確認してもらえます。
損益や資金繰りの状況把握を依頼すれば、経営者はそのデータをすぐに経営判断に活かすことができます。
また、いざ資金調達が必要になった時も、最新の経営状況がすぐに把握できますから、スムーズに融資申請へと動くことができるようになります。
個人で何となく作成した事業計画書よりも、税理士と一緒に作成したポイントを押さえた事業計画書の方が、金融機関の担当者から見ても信頼度が増すのもメリットです。
このように、税理士の力を借りるメリットはとても大きいものです。
毎月の費用などを削って自分で会計処理することもできますが、慣れない会計・経理作業にストレスを感じたり、税務署の指摘に怯えたりする時間は非常にムダです。
税務・会計にかかる時間を、本来の事業活動に充てる方が有効な時間の使い方と言えます。
時間とお金を効率的に使うために、会社設立・起業したら信頼できる税理士を探しましょう。
「信頼できる税理士の選び方」については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:税理士が教える税理士の選び方。失敗しない12のチェックリスト
また、「税理士費用の相場」について詳しくまとめた記事もご用意しています。こちらも合わせて参考にして下さい。
関連記事:【税理士費用の相場まとめ】依頼内容別の相場まとめ表あり!費用を抑えるポイントも紹介