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現在はがんの治療も通院が主流になっています。
厚生労働省がまとめた「平成26年患者調査」によれば、がんの治療のために通院している患者の数は約171万人なのに対し、入院している患者の数は約129万人でした。
これ自体は画期的ではあるのですが、一方で別の問題にもつながっています。
それは「がんの治療中も働きたい」という人が増えているにも関わらず、がんにかかったことを理由に退職勧奨されることです。
本来は企業側が配置転換を行い、働き続けられるようにするのが望ましいですが、そこまで現状が追い付いていない会社もあるのが事実でしょう。
一方で、企業の側から積極的に「がんの治療中であっても、能力がある人となら働きたい」という姿勢を見せるのは、立派な社会貢献になるはずです。
そこで、東京都に事業所を構えている事業主の方に検討してほしいのが「東京都難病・がん患者就業支援奨励金」です。
これは簡単にいうと、がんやその他の難病で治療を受けている人を会社が採用・継続雇用したり、社内の制度の整備を行ったりした場合は、以下の奨励金などを受け取れるという制度です。
参照:東京都難病・がん患者就業支援奨励金 | 企業向け奨励金・助成金 | TOKYOはたらくネット
手続きは、申請書類を対象の部署に提出して行います。
事前に担当部署である「東京都産業労働局 雇用就業部 就業推進課 障害者雇用促進担当」(03-5320-4663)に連絡し、詳細を確認しましょう。
「働く」ということは「人の役に立つ」という実感が得られる行為です。
がんや難病で闘病している人にとっては、治療に取り組むモチベーションにもなるはずなので、このような制度も上手に活用してみて下さい。
2018年12月時点での有効求人倍率は1.63倍と、慢性的な人手不足状態が続いています。
このように書くと、「ぜいたくを言わなければ、誰でも就職できるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、就職できない人が多くいるのも事実です。
特に、いわゆる就職氷河期世代(2000年前後に大学を卒業した、2019年現在40歳前後の世代)の人で、大学以来、正社員として働いたことがない人はたくさんいます。
派遣社員・アルバイトの場合、平均収入が正社員に比べると劣るので、生活に困窮するケースも少なくありません。
この問題を解決するには、企業側の努力も不可欠です。
もし、これを読んでいる経営者の方で、「いい人であれば、ニートやフリーターだったとしても一緒に頑張りたい」と思うのであれば、是非活用してほしい制度があるのでご紹介いたします。
トライアル雇用およびトライアル雇用助成金(一般トライアルコース)です。
簡単にいうと、職業経験・技能・知識等からなかなか就職できない人を、常用雇用を前提として、一定期間(原則3か月)試行雇用することです。
一定の条件を満たす人をトライアル雇用すれば、支給対象者1人につき月額4万円(母子家庭の母・父子家庭の父の場合は5万円)が支給されます。
もともとこの制度は、「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」という制度として始まりました。
名前からもわかるように、高校・大学を卒業して3年以内で、正社員として就職していない人を対象にした制度です。
しかし、就職氷河期世代の人が、正社員として働けず、生活に困窮している実態がある以上、制度もそれに合わせて変える必要が出てきました。
2019年4月1日から制度が大幅に変更になり、「ニートやフリーター等で45歳未満」かつ「生活困窮者」であれば、トライアル雇用の対象者に含まれるようになったのです。
もちろん、「学校を卒業して3年以内」という条項は外されました。
「いい人なら、年齢が少し上でも雇いたい」という経営者の方は、本制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。