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株式会社設立のメリット・デメリットは?デメリットを抑える方法も解説

会社設立を検討するにあたって、事前に株式会社化のメリット・デメリットを知っておきたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、個人事業主と株式会社の違いをまとめた表をご覧いただいた上で、メリット・デメリットをわかりやすく解説していきます。

事前にメリット・デメリットを押さえておけば、株式会社を設立すべきかどうかや、どのような点に気をつければ良いかが明確になります。

デメリットを抑えて株式会社設立のメリットを最大化する方法も紹介しますので、ぜひ会社設立前のご検討にお役立てください。

個人事業主と株式会社の違い

さっそく、個人事業主と株式会社(法人)の違いをまとめた表を確認してみてください。

項目 個人事業主 株式会社(法人)
開業・設立 開業届の提出
合計額:0円
  1. 定款の作成(書面なら収入印紙4万円)
  2. 定款の認証(公証人手数料等5.2万円)
  3. 設立登記(最低でも登録免許税15万円)

合計額:24.2万円もしくは20.2万円

資金調達 多額の資金調達は難しく、法人よりも融資審査は不利 個人よりも多額の資金調達がしやすく、融資審査も有利
信用度 取引を断られることがある 取引・人材獲得・資金調達面で有利
税務会計
  • 青色申告者は正規の簿記の原則に従う
  • 会計年度は暦年で固定
  • 所得税の申告・納付
  • 消費税の申告・納付
  • 一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従う
    (会社法第431・614条)
    ※中小企業では「中小企業の会計に関する指針」
  • 会計(事業)年度は自由
  • 法人税の申告・納付
  • 法人住民税の申告・納付
  • 法人事業税の申告・納付
  • 消費税の申告・納付
損失の繰越控除(赤字) 青色申告で3年間 青色申告で10年間
税率
  • 所得税(超過累進税率):最大45%
  • 住民税:所得割10%+均等割
  • 事業税:業種によって最大5%
  • 法人税:最大23.2%
  • 地方法人税:法人税額に対し10.3%
  • 法人住民税:約7%+均等割最低7万円
  • 法人事業税:法人税額に対し最大7%程度
  • 特別法人事業税:法人事業税額に対し37%

※資本金の額や自治体により異なる

消費税 前々年の課税売上高が1,000万円を超えると納税義務がある
社会保険の適用
  • 常時雇用する従業員5人以上で適用事業所
  • 個人事業主は国民健康保険および国民年金保険に加入する
  • 法人の時点で適用事業所
  • 経営者も健康保険および厚生年金保険に加入する
利益分配 自由
  • 会社から経営者個人に役員報酬を支払う
    (個人の給与所得)
  • 純資産額300万円以上あれば剰余金の配当も可能だが、原則として株主総会での決議が必要
    (個人の配当所得)

上の表で載せられなかった点も加え、株式会社設立のメリット・デメリットを具体的に解説していきます。

株式会社設立のメリット

株式会社設立のメリットは、以下の通りです。

  • 資金調達しやすい
  • 人材獲得しやすい
  • 対外的信用度が高い
  • 節税を見込める
  • 経営者自身の社会保障が充実する

資金調達しやすい

個人事業主でも事業資金の調達は可能ですが、株式会社では個人事業主よりも多額の資金調達がしやすいといえます。

さらに、民間銀行や日本政策金融公庫などの金融機関における融資審査において有利になります。

その理由は、次の通りです。

  • 法人向けの融資制度は融資限度額が高い
  • 株式の発行により、金融機関以外の第三者から出資を受けられる
  • 貸借対照表や損益計算書などの決算書類が充実しており、金融機関が審査しやすい
  • 事業とプライベートのお金の区分が明確であるため審査しやすい

例えば、政府系金融機関である日本政策金融公庫は、個人事業主や小規模企業向けの融資事業「国民生活事業」と中小企業向けの融資制度「中小企業事業」があります。

国民生活事業の平均融資額は約700万円ですが、中小企業事業は約1億円となります。

国民生活事業は、個人企業や小規模企業向けの小口資金をご融資しており、ご融資額の平均は約700万円です(短期の運転資金もお取り扱いしております)。

中小企業事業は、中小企業向けの長期事業資金をご融資しており、ご融資額の平均は約1億円です(短期の運転資金はお取り扱いしておりません)。

引用元:融資制度一覧から探す|日本政策金融公庫

また、個人事業主でも一部の青色申告者なら、貸借対照表および損益計算書を作成しているはずです。

しかし、融資する側からすれば、株式会社(法人)の方がプライベートと事業の区分が明確である点は評価しやすいでしょう。

人材獲得しやすい

一般の応募者にとっては、個人事業主よりも株式会社の方が、安定して働き続けられる印象を持ちます。

そのため、株式会社の方が人材を獲得しやすい傾向にあります。

また、経営者自身が持っているWEBサイトやハローワークでの求人掲載などでない限り、求人情報を掲載するには費用が発生します。

資金調達しやすいのも株式会社のメリットであり、求人広告の掲載費用を出す余裕がある点からも、人材獲得には株式会社の方が有利です。

対外的信用度が高い

株式会社は資本金を払って商業登記を行い、決算公告により貸借対照表を公開しています。

一方、個人事業主はそのような条件が一切ないため、株式会社の方が対外的な信用度は高いといえます。

大企業など一定の会社によっては、経営リスクを抑えるために取引先を法人に限定している場合もあります。

節税を見込める

所得が高いほど株式会社の方が税率を抑えられ、結果として節税を見込めます。

例えば、課税所得1,000万円の場合は以下の通りで、法人の方が税額を抑えられます。

  • 個人所得税:課税所得1,000万円×税率33%-控除6万円=所得税額176.4万円
  • 法人税:(800万円×税率15%)+(200万円×税率2%)=法人税額166.4万円

参照:
No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁
No.5759 法人税の税率|国税庁

ただし、実際の税額計算はこのような単純な話ではなく、以下のように多くの要素が絡んできます。

  • 所得税だけでなく、住民税と事業税がある
  • 法人事業税は、法人税で経費扱いされる
  • 個人所得税は、事業所得だけでなく給与所得や不動産所得などと合算する
  • 個人は、青色申告特別控除・基礎控除・社会保険料控除などの各種所得控除がある
  • 個人事業税は、290万円の事業主控除がある
  • 法人は、損金に算入できる範囲が広い
    (一定の給与や報酬・社宅・社用車・旅費・退職金・各種保険および共済)
  • 個人は3年だが、法人は10年間欠損金の繰越控除を受けられる
  • 法人成りすれば、2年間消費税の申告納付義務が免除される
  • 会社のお金は、経営者が自由に使えない

この中でも、株式会社設立による消費税の2年間免税および経費(損金)として認められる範囲が広い点は大きなポイントです。

株式会社はプライベートと事業の区分が明確であるため、個人では経費にできなかった以下のようなものも経費にできます。

  • 家族を含めた役員報酬・給与
    (個人の給与所得となり、最低55万円の給与所得控除および所得分散の効果を受けられる)
  • 旅費規定によって支給する交通費や宿泊費
    (個人の所得においても非課税の扱いとなる)
  • 一定の基準を満たした慰安旅行費
  • 一定の基準を満たした社宅の購入額(減価償却)や家賃差額

ただし、株式会社設立による消費税の2年間免税効果については、注意が必要です。

2023年10月からインボイス制度が始まり、免税事業者との課税仕入は、段階的に仕入税額控除ができないようになります。

課税事業者からすれば、同じ取引なら課税事業者と取引した方が消費税の納付税額は抑えられるのです。

したがって、免税事業者は取引上不利になることが想定されています。

このような背景から、今後はあえて課税事業者を選択する方が良いケースも出てくるでしょう。

参考:インボイス制度の概要|国税庁

いずれにしても、個人事業主から株式会社を設立(法人成り)して節税効果を期待しているのであれば、事前に一度税理士に相談しておくのがおすすめです。

株式会社は、役員の変更登記・法人住民税の均等割・決算公告費用などの維持費がかかります。

結果として、実質的な増税となってしまったり、社会保険料の負担が増えて困ったりする場合があるからです。

経営者自身の社会保障が充実する

株式会社を設立すると、経営者自身の社会保障が充実します。

個人事業主および株式会社の経営者の社会保険適用関係は、以下の通りです。

  • 個人事業主:国民年金保険および国民健康保険
  • 株式会社の経営者:厚生年金保険および健康保険

老齢年金や障害年金の給付額は、個人事業主なら国民年金部分だけですが、株式会社の経営者なら厚生年金部分(報酬比例)ももらえます。

また、障害年金においては障害の程度が3級でも障害厚生年金をもらえます。

健康保険については、国民健康保険にない健康保険独自の給付があります。

  • 傷病手当金
  • 出産手当金

経営者が傷病手当金をもらうのはあまり一般的ではありませんが、株主総会等で役員報酬を減額した場合には可能性があります。

さらに、年収130万円以下の扶養家族が増えても、国民健康保険と違って保険料は増えません。

株式会社設立のデメリット

株式会社設立のデメリットには、以下が挙げられます。

  • 設立費用が20万円以上かかる
  • 赤字でも住民税の均等割で最低7万円を毎年支払う
  • 代表取締役でも会社のお金を自由に使えない
  • 従業員の社会保険料を負担しなければならない
  • 税務会計の手間が大きい

会社設立する前に必ず確認しておきましょう。

設立費用が20万円以上かかる

株式会社を設立するには、税金や手数料など必ず20万円以上の費用がかかります。

法定費用 金額
定款認証手数料 ¥50,000
定款謄本手数料 ¥2,000
定款の印紙代 ¥40,000
登録免許税 ¥150,000
合計 ¥242,000

この表では24.2万円とありますが、実際には費用を抑える方法もあります。

詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひご確認ください。

関連記事:株式会社設立の費用は最低いくら?設立コストを賢く抑えよう!

赤字でも住民税の均等割で最低7万円を毎年支払う

個人事業主の場合、利益が出なかったり赤字だったりすると、個人住民税は均等割の5,000円程度もしくは非課税となります。

しかし、株式会社の場合は資本金や従業員数で変動しますが、最低でも7万円の法人住民税均等割を支払わなければなりません。

その他、株式会社は決算公告や役員変更登記などの費用がかかります。

これらは赤字であっても払わなければいけない会社維持費用となるのです。

代表取締役でも会社のお金を自由に使えない

株式会社を設立すると、会社のお金は経営者のお金ではなくなります。

いくら自分が資本金を払って(出資して)設立した会社であっても、会社のお金は個人が自由に使えません。

そのため、会社から個人に役員報酬として支払わなければならないのです。

役員報酬は原則として期中の変更はできないので、役員報酬の設定は非常に重要なものとなります。

適切な役員報酬の設定は難しいため、設定の都度、ぜひ税理士にご相談するようにして下さい。

従業員の社会保険料を負担しなければならない

経営者自身が社会保険(健康保険および厚生年金保険)に加入できるのはメリットだと紹介しました。

しかし、社会保険料は事業主と従業員が折半して負担することになっています。

例えば、東京都に事業所を構え、45歳の従業員に30万円の給与を支払ったとします。

この場合、従業員に支払う給与の約15%ほどの社会保険料を会社が負担しなければなりません。

  • 健康保険料および介護保険料:17,460円
  • 厚生年金保険料:27,450円
  • 合計:44,910円

参考:令和3年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表 | 全国健康保険協会

なお、実際には子ども・子育て拠出金や労働保険料もありますので、上記より少し多い社会保険料となります。

従業員や役員を雇わない1人社長の場合、会社と経営者個人でそれぞれ15%ほど(合計で約30%)の社会保険料を支払います。

税務会計の手間が大きい

青色申告をしている個人事業主であれば、複式簿記により記帳を行っており、株式会社でも複式簿記で記帳するのは変わりません。

しかし、法人税法上の損金と会計上の費用の違い、法人税の申告書別表は個人事業主にはない難しさがあります。

さらに、法人住民税と法人事業税の申告・納付が必要ですから、確実に税務会計の手間は大きくなるのです。

税務署に提出する届出も多数あります。

ちなみに、経理担当などの従業員を自社で雇うより、税理士に合わせて依頼する方が一般的には安く済みます。

経理担当などの従業員を雇うのであれば、社会保険料・給与・福利厚生の負担が大きいからです。

株式会社の設立を考えているのであれば、会社設立後のことも見据えて、早めに税理士に相談しておくと良いでしょう。

社会保険や労務の手間が大きい

税務だけでなく、厚生年金保険・健康保険・労働保険関係の手間も大きくなります。

1人社長なら労働保険の適用事業とはならず、従業員の扶養状況や異動に関する手続きもないので比較的ラクかもしれません。

しかし、従業員を雇うなら、社会保険労務の手続きがかなり煩雑で手間がかかります。

当然、税務においても従業員分の源泉徴収および年末調整の各種手続きで手間がかかります。

参照:
雇用保険事務手続きの手引き|厚生労働省
適用事業所に関すること|日本年金機構

採用時の社会保険労務手続き

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届を5日以内に年金事務所へ提出
  • 翌月10日までに雇用保険被保険者資格取得届をハローワークへ提出(離職票の交付も必要)

定時改定および年度更新

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届および総括表を7月1日から10日までに年金事務所へ提出(定時改定)
  • 確定保険料の申告・納付および新年度の概算保険料の申告・納付を、6月1日から7月10日までに労働基準監督署へ提出(年度更新)

賞与支給時

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届および総括表を5日以内に年金事務所へ提出

従業員退職時

  • 健康保険・厚生年金保険の資格喪失届を5日以内に年金事務所へ提出
  • 雇用保険被保険者資格喪失届を10日以内にハローワークへ提出

従業員の被扶養者に変更があったとき

  • 健康保険被扶養者(異動)届を5日以内に年金事務所に提出

労務関係帳簿の備付け

  • 労働者名簿
  • 出勤簿またはタイムカード
  • 各種手続の事業主控
  • 賃金台帳
  • 就業規則・給与規定
  • 労働条件通知書または雇用契約書

株式会社設立のデメリットを抑えるためには早い段階で税理士に相談を

個人事業主と株式会社の違いによるメリット・デメリットを紹介してきました。

株式会社には、税金・対外的信用・資金調達・人材獲得・経営者自身の社会保障の充実など多くのメリットがあります。

しかし、設立手続き・会社維持・税務会計・社会保険・労務の手間と費用は少なくありません。

これらのデメリットを最小限に抑えるためには、早めに税理士に相談しておくことが重要なポイントです。

当事務所においても早い段階で税理士にご相談いただければ、株式会社設立サポートにより、通常より手間と費用を抑えて株式会社設立が可能です。

さらに、会社設立後の税務会計サポートも行っております。

不明点・ご興味等ございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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