事業を営んでいく上でのリスクの1つに、「取引先からの売掛金が回収できない」があります。
つまり、商品やサービスを売っても、売上がお金として入ってこないということです。
当然お金が入ってこない以上、自分の事業の進め方にも大きく影響します。
そこで、売掛金が回収できない場合は、あなたからアクションを起こす必要があるのですが、進め方には十分注意しましょう。
絶対にしてはいけないのは、「いきなり取引先に怒鳴り込む」という対応です。
日本の民法をはじめ、現在の民事法で主流となっている考え方の1つに、「自力救済の禁止」があります。
これは、何らかの権利を侵害された者が、司法手続によらず実力をもって権利回復をはたすことです。
いきなり取引先に怒鳴り込むのは、自力救済にあたるので注意しましょう。
まずは取引先に連絡し、「単にうっかり忘れていたのか」「払えない事情や悪意があるのか」を見極めましょう。
うっかり忘れていた以外の理由なら、以下の流れで対応を進めてください。
最初に、取引先に内容証明郵便を送りましょう。
売掛金には2年の時効がありますが、内容証明郵便を送ることで、時効の成立を遅らせることができます。
取引先と交渉する余地があるなら、「分割して支払う」「相手方に引き渡した商品を引き上げる」「取引先への買掛金と相殺する」「取引先が所有している売掛金を譲渡してもらう」などの方法も取れます。
ただし、あくまで取引先との同意のもとに行わなくてはいけない点に注意してください。
これらを全部行っても解決しそうにない場合は、最後の手段として訴訟を起こしましょう。
売掛金の金額が少額(60万円以下)であれば、少額訴訟の手続きも利用可能です。
1回の審理に基づき判決が出るので、結果を早く知ることができます。
実際にどんな手続きをとるのがいいかは、売掛金の金額や取引先の出方によって異なるのも事実です。
弁護士・司法書士などの専門家と連携し、スムーズな解決を目指しましょう。