合同会社設立の人数は、最低何人必要なのだろう?1人でも大丈夫なのだろうか?
結論から言えば、合同会社設立の人数は最低1人で、その1人がそのまま経営することが可能です。
つまり、1人合同会社を設立・経営することができます。
本記事では、合同会社設立の人数を踏まえた上で、合同会社の定義・要件・特徴を紹介し、合同会社における社員の権限についても解説します。
合同会社の設立を検討している方は、ぜひ会社設立をする前にご確認ください。
目次
合同会社設立に必要な人数は、会社法で人数の定めがなく、1人でも可能です。
ちなみに、株式会社も非公開会社で取締役会を設置しなければ、1人で株式会社を設立して・経営することができます。
会社設立時に必要な商業・法人登記を所管する法務省では、1人株式会社・1人合同会社の設立登記は「完全オンライン申請」がおすすめだと説明していますが、「完全オンライン申請」をするためには、以下のようにいくつかの条件があります。
参考:法務省「一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです!」
仮にこれらの条件に当てはまっていなくても問題はなく、「完全オンライン申請」ではなく、普通に書面申請にて1人合同会社の設立が可能です。
関連記事:合同会社設立の流れを手順・スケジュールに沿って解説!株式会社設立との違いも
合同会社の設立を検討している方のために、合同会社の定義や要件について簡単に解説しておきます。
先に特徴をまとめておくと、次の通りです。
合同会社のメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
関連記事:合同会社設立のメリット・デメリットは?株式会社より合同会社がおすすめのケースも解説
以下、特徴についてそれぞれ解説していきます。
合同会社の定義の1つは、出資した人が会社を経営する持分会社であることです。
株式会社は原則として所有と経営は分離しており、合同会社は原則として所有と経営は一致しています。
わかりやすく言えば、「会社にお金を出した人が経営も同時に行う」のが持分会社の原則です。
先ほど解説したように、合同会社は会社にお金を出した人が原則としてその会社を経営します(持分会社)。
ただし、この要件だけだと合同会社と定まりません。
具体的には、持分会社の中でも出資者の全員が有限責任であることが合同会社の定義です。
参照:e-Gov法令検索(総務省)「会社法第576条(定款の記載又は記録事項)」
ここでいう責任とは、会社が倒産して会社の財産で借金(債務)を返せない時、その借金を返済する責任のことです。
参照:e-Gov法令検索(総務省)「会社法第580条(社員の責任)」
以上のことから、合同会社の定義・要件・特徴は、会社に出資した人が原則として会社を経営する社員となり、その社員全員が有限責任社員であることです。
その他、個人事業主や株式会社と比較した合同会社のメリット・デメリットについては、以下の記事をぜひ参考にしてください。
関連記事:合同会社設立のメリット・デメリットは?株式会社より合同会社がおすすめのケースも解説
合同会社は1人で設立・経営でき、有限責任であることを解説してきました。
ただ、株式会社と合同会社における社員や役員の違いについては、少し理解しがたいものがあります。
そこで本章では、合同会社の設立を検討している方のために、合同会社における社員・代表社員・業務執行社員について解説します。
簡単に株式会社と合同会社の「人」に関する違いをまとめると、次の通りになります。
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
出資者・設立者 | 株主 (発起人) |
社員 (社員になろうとする者) |
業務執行権限者 | 取締役 | 社員 (業務執行社員) |
代表権者 | 取締役 (代表取締役) |
社員 (業務執行社員もしくは代表社員) |
株式会社の役員(機関)には取締役・会計参与・監査役がありますが、合同会社にはありません。
合同会社には役員という概念はなく、上表のように出資・設立・業務執行・代表すべては社員が行います。
なお、合同会社における社員とは、一般的な認識である会社員のような意味合いではありません。
合同会社における社員は出資者のことを指し、また一般の従業員は会社に出資をしていないため社員とは呼びません。
合同会社では、原則としてすべての社員が株式会社でいう代表取締役です。
そもそも代表取締役とは、株式会社において単独で会社を代表して法律行為を行える経営者のことを指します。
つまり、代表取締役には代表権と業務執行権があるということですが、合同会社の場合には会社に出資した人全員が代表権と業務執行権を持ちます。
そのため、合同会社はすべての社員が代表取締役のようなものと言えるのです。
合同会社では、実際の会社経営に参画しない社員に経営権を与えないことができます。
例えば、お金のある人がスポンサーとなって合同会社に出資し、その人は実際には経営せず、他の人が経営するケースです。
合同会社では原則として出資者(社員)全員が業務執行権限を持っていますが、以下のように定款で定めておけば、業務執行権を限定できます。
合同会社では、前述した業務執行社員が会社を代表するのが原則です。
しかし、2人以上いる場合には混乱が生じてしまう場合もあるでしょう。
そこで合同会社では、会社を代表できる人とできない人を定款の記載や業務執行社員の互選によって定めることができます。
具体的には、定款で以下のいずれかのように記載すると良いでしょう。
注意しておきたいのは、合同会社の代表社員は業務執行社員から選ばなければならないことです(会社法第599条)。
業務執行権がなければ、合同会社の代表権を持たないので代表社員にはなれません。
なお、合同会社でも肩書として「社長」と名乗ってはいけない法律の定めはなく、社長と名乗れます。
ただし、肩書は原則である「代表社員」が無難です。
株式会社の代表者である「代表取締役」という肩書を、合同会社の社員において肩書とするのは避けた方が良いでしょう。